妄想会議オンライン 第1回「触れられない時代の過ごし方」ダイジェスト

2020/09/18に行った、「妄想会議オンライン 第1回」の書き起こしをダイジェストでお送りします。

日時:2020年9月18日(金)20:00〜
場所:YouTube生配信/zoomウェビナー
主催:Scale Laboratory
助成:ふじのくに#エールアートプロジェクト

ゲスト:目黒陽介(ジャグラー・演出家/ながめくらしつ 主宰)

入手杏奈(ダンサー・振付家)

小島一晃 (会社員兼写真家)

司会:高橋裕一郎

グラフィックレコーディング:サノユカシ(Scale Laboratory)

プロデューサー:川上大二郎(Scale laboratory 代表)

●出演者のプロフィールはこちらをご覧ください。

(1)今、どうしてる?

高橋

コロナ禍以降、一般の方は、仕事量が減ったとか、なかなか出かけられないとか、家族で過ごすと言った変化があるのですが、アーティストのみなさんは、一般の方からすれば非日常的な過ごし方をして、普通にしてるだけでもどうやって生きてるんだろう、って思われがちな部分もありますよね。さらにアーティストは厳しい時期に入っていますが、今どうしているんでしょうか?

川上

僕、本業が舞台監督なんですけれども、お仕事がやっと戻ってきた感じがあります。8月の半ばからだんだん復活してきたけど、まだ気をつけることがたくさんあります。
今まで客席を半分にしてたのが戻りつつある。だけど、客席が戻ることによって「隙間が空かないから、逆に怖くて行きません」みたいな意見もあったりで。
どうやって意識を変えていくか、何が本当に安全で、安心して見られるよと伝えていけるかや、今までよりも、見る方ややる方へのケアみたいなのが、感慨深いというか…。

高橋

一筋縄ではいかない?

川上

そうですね。スケラボではながめくらしつさんと連続公演という形でずっとやっていく予定で、生もやりたいし、配信もやりたいと思っています。

高橋

今は配信をやることによって、「意外にいいじゃん!」って話は出てきてますね。
ずっと何年も見に来ることができなかった人が、「見れたよー!」なんていう、そういうミュージシャンの話はよく聞きます。
これからはライブと配信がセットになっていくんじゃないかな。
遠くても、インターネットでも、多くの人に見てもらえる方がやっぱりいいな、っていうのは、多い意見ではありますね。

川上

僕は、たとえば海外にいる方にも配信を見てもらうことが、一つおもしろい試みかな、と思っています。
それを見て、この人たちに来てもらおうとか、そういう規模になっていけば、プラスになっていくのではないかと。

高橋

そうですね。自分だけが前向きになっても、全員がそうはならないところが難しいところですが。続きましては、入手杏奈さんどうでしょう。

入手

はい。8月にとても久しぶりに舞台の本番を行いまして、次は11月の舞台のリハーサルがいろいろ気をつけながら始まっています。活動は徐々に戻ってきていますね。
戻っている部分と全然戻らない部分が両方あると感じて、切ないな、と思います
でも、少しずつ戻ってきているのはほんとにありがたいです。

高橋

演者さんだけじゃないですもんね。スタッフ全員が気をつけている。

入手

友人とは、「最近どう?会えないけど、元気にしてるー?」みたいに、連絡取って励まし合いながらやっていますね。
今まではオン・オフがありました。稽古して本番をやって、終わった、飲みに行こうって。
舞台と本番があって、そうじゃない時間があって、成立していたなと思いました。今はひたすら稽古して、本番して、すごくストイックな仕事になったなと。

高橋

息抜きはなんでしょうか?

入手

私は野球が好きなのでプロ野球を見ます。あと、深夜ラジオが好きなので、それを聴く。家にいてできることがすごくあるので、それは良かったな、と思います。
Twitterはだいたい野球の話題(笑)。「野球アカウント作った方がいいんじゃない?」とみんなにも言われるぐらい。去年は(球場に行って)「行け行けー!」みたいな感じだったんですけど、それが今はできないので、家でビール飲みながら。

高橋

以前、テレビでコメンテーターが「アクセルを思いっきり踏みながらブレーキを思いっきり踏んでいる」って言ってましたけど、今、ほどほど(アクセルを)踏みながらほどほど(ブレーキを)踏んでるみたいな状態ですね。

入手

そうですね。もどかしさも感じますね。でも、少しずつ良くなってると思います。

高橋

さあ、では続きまして、目黒陽介さん。

目黒

最初の頃のいわゆる自粛期間からくらべると、最近では、以前と同じ形ではないけれど、徐々に戻ってきたと感じます。
少しずつ、こんな感じだったらこういうことができるかな、みたいなのが、実行に移せるような気がしています。
こういう対策をすればこういうことしてもいいですよというガイドラインはあるんですけど、そういった対策をすることとは別に、やる方にも見る方にも気持ちの問題はあり、ちょっと難しい問題だと思う。でも、その中で、作る上での面白味や、この状況でしか生まれないようなことを見つけながらやっています
僕、一個決めたらどんどん際限なく取り入れて作るもので、今、締め切りにいろいろ追われてる感じです。(笑)

高橋

なんだか宝探ししているような感じですね。

目黒

うーん、そうですね。ある意味ずっと、こうなる前からそうだったかもしれない。でも、探している物の形は変わったかもしれないですね。
3月くらいかな。予定がだいたいなくなりましたね。春は忙しいはずだったんですけど、引きこもっていました。
8月に沼津でやる予定だった公演もそうですけど、直前に中止になることは、これからわりとふつうに起こり得る。コロナ禍以前は、中止になることもなくはなかったですが、可能性を考えもしませんでした。もちろんサーカスなので、事故が起こったらもうできない、ということは頭に入れながらやっています。でもやっぱり今は、できなくなるかもしれないっていうことを、常に頭の片隅に置きながら行動しているような感じはしますね。

高橋

続きまして、小島さんにもおうかがいします。

小島

パフォーマーの方たちは、最初の頃パタッと止まって、今、盛り上がってる感じがしますね。
私の場合はサラリーマン業と個人の写真撮影の2つがあります。サラリーマンの方は、仕事としてはずっと続いていますが、最近、そのインパクトがじわじわ来ています。
私、材料の販売の仕事をしていますが、売上が落ちてくるので、そのいろんなつじつま合せとか、来年度に向けてどう調整しなきゃいけないとか、そういうのが今になってちょっとシビアに来ています。
個人でやってる写真の方は、まさにこのあいだ、目黒さんのながめくらしつさんを見せていただいて、久しぶりに人を、すごく思い切り撮れましたね。
3月くらいから人を撮る機会を失っていて、私の方も、もう撮れなくて当然みたいに感じていました。
その中で、ながめくらしつさんの素晴らしいシーンを見せていただいたので、気分が盛り上がりましたね。

高橋

今はだんだん、被写体に人が入ってきた感じが?

小島

僕は基本、人をメインにしています。他の情景を、人を介して撮りたいと思っているんです。長泉町の景色でも、それを見てはっと思っている人のほうを入れながら撮りたい。
2月ぐらいまでは仕事での移動もすごく多くて、移動先で写真を撮ることもありました。まだ、それが全然戻らないところはあります。

高橋

さあそして今、早くも私たちの話がだんだんと絵になってきておりますが!サノユカシさん的にはなう、どうですか?

サノ

「なう」は、ありがたいことに絵のお仕事って減らなくてですね。
コロナの影響でいいことばっかりじゃないですけど、コロナの注意喚起のポスターのお仕事をいただいたりとか、そういう意外なお仕事が舞い込んできたりしました。
それはイレギュラーな感じの依頼でしたね。
だけど、やっぱり打ち合わせで細かいお話を聞きたいんだけど、直接会えないもどかしさはありましたね。
会ったほうがすぐ汲み取れるのに、会いにいけない。そういうことがありましたね。

(2)あの時、どうしてた?

高橋

そんなみなさんの現在、ちょっと動き出してる、正解を見つけてる、ちょっと良くなってきたかもみたいな状態のお話を聞きました。
けれども、絶望の淵に立った時もあるんではないかなって思います。そんな時はありましたか?

川上

2月にニューヨーク公演があったんですが、たぶん感染症の影響で荷物が届かなかった。舞台美術の材料をニューヨークで全部買いなおして、そこで作って、それでセットをなんとかまかなって上演しました。その頃はまだ感染症の脅威とかが伝わりきってなかったんだけど、思ったよりこれやばいなーと思ってました。
2月の本番が1個あったきり、そこからすべてパタパタパタっと終わったので、伊豆の修善寺という所で造園業の方にお願いして、ずっと、お庭の手入れなどの仕事をしてました。植木屋さんって、あんまり人と会わないじゃないですか。そのおかげで、大自然の中で健康的な仕事をしながら、日々を見つめ直すことができました。
だから個人的には、暗い思いをしなかった。ただ、バタバタバタバタ公演がなくなっていく、ドミノが倒れきっていくみたいな景色を見て、「うわぁ…」って思ったのはたしかですね。
これで終わったなっていう気持ちにはなったし。やれないなって思ったし。
悲しいからパン焼いたりしてました。

高橋

パン、いいですねえ。続いては杏奈さん、どうですか?最初の頃。

入手

私は、4月5月に公演がある予定だったんですが、その全公演がなくなりました。4〜6月はほとんど家にいました。たぶんみんな一緒だと思います。
このまま踊らないで、ダンスやめたら何の仕事しようかなー、そういうことを考えなきゃいけないかなって思ったぐらい。
公演がなくなったことで、私の中では、ほんとになくなっちゃった、死んじゃった、みたいな気持ちになりました。もう稽古場での稽古が終わって、あと劇場入りするだけのところで緊急事態宣言が出たので、みんなと集まってさよならも言えないまま終わってしまって。なくなったことに対して、それを弔うのに2・3ヶ月かかりました。
自分だけが悲しいんじゃなくて、公演に関わった人全員がやっぱり辛いんだって思うことで、お互い慰め合って、支え合って乗り越えたって感じがします。
幸運にもそれは、来年上演できる機会をいただけたので、それは本当によかったと思います。
それと、いろんな公演が「中止です」「中止です」って、SNSで見ると、「またなくなっちゃった」っていう喪失感があって、そういう情報を見るのも、けっこうしんどかった。みんなが悲しかったですよね、あの時は。
そのダメージは、一人じゃ乗り越えられないんですよね。私も公演がなくなった時、大泣きして、友達に電話して聞いてもらったんですけど、そういうふうに人とのつながりで、乗り越えていくしかなかった。会えないけど、一人じゃ何もできなかった。その時は、人とのつながりをすごく感じました。

高橋

続いて、陽介さん。今は前向きになっていますけど、初まりの頃の、ええー?!みたいなのは。

目黒

僕、今前向きかと言われればそうでもなくて。仕事が、なくなったのが2月の終わりから3月くらいだと思うんです。僕が最後にやったのは3月終りの仕事でした。この春もどんどんキャンセルになったんですけど、舞台公演のように長い期間をかけて作るものではなくて、大道芸のフェスティバルとか、自分のいつものショーをやるような仕事が多くて、規模が大きくて作りこまなきゃいけない仕事にとりかかる前だったんです。だから、それが中止になっても、悲観も楽観もしないような、ちょっと遠くにあるような感じで考えていたところがあった。いろいろイベントや仕事がない状態がしばらく続いて、せっかくだから、今まで時間がなくてできなかったことをやろうと思って、電子ピアノをヤフオクで落札して買いました。3月の仕事が終わった後、ずっとピアノの練習をしていました。
ちょっとずつ、6月の中頃くらいからパフォーマンスを久しぶりにやって、7月も自分で企画したのをやって、8月、こないだの沼津の公演が、本番当日に中止になった
それは、もうできていたんですよ。いちおう人前に出せるところまでいってたんですけど、そこまで作ったものが中止になったのは初めてだったんです。それが終わった時、2日、3日ぐらい経った後に、なんか、生まれる前に死んでしまったような感覚がありました。それまではできてないものが中止になっていたので、そういう実感ってあんまりなかったんです。
もともと、プライベートで人に頻繁に会うような人間じゃないので、生活自体はそこまで大きく変わっていなかった。最初の頃は、ずっと休みが欲しくて欲しくてしょうがなくて、しばらく休みたいってずっと思いながら、いろいろ作り続けていたんです。精神的には全然しんどいっていうのはなくて、ひたすらピアノを練習してた。
時間できたぜ!ぐらいの感じに、最初は思ってたんですけどね。
少しずつ人の動きや仕事が、以前と同じ形ではないにしろ戻ってくると、その動いてる人たちと動いてない時の自分との差のほうが大きく感じられて。そういう、「中止になっちゃった」って声を聞くと、クるときがあるのと、逆に、「あ、この人たちはやれたんだ」っていうのを見た時にクるのが、僕は、最近あるな、と。もちろん、うまく公演ができてよかったねって思うし、うまくいってほしいっていうのはあるんだけど、やっぱりそういう人の情報は、たまにシャットアウトしたりしてますね。

入手

逆に苦しいですもんね。

高橋

じゃあ次、小島さん。

小島

見る立場からですが、3月4月、いろんなもののアクティビティが、全部下がった感じがしました。4月5月頃、見る方のチョイスとして配信がだんだん入ってきて、僕はダンスを3つと、コンサートを1つ、配信で見ました。
コンサートは、zoomで1対1でつないでいただいて、1時間演奏してもらうものでした。会話もしながらだし、3,000円だったんですけど、ちょっと安くて申し訳ないぐらい、すごいゴージャスな感覚がありました。その頃出てきていたインスタライブとか、対価なしに見れてしまうものはたくさんありましたが、インフラがまだ整っていませんでしたね。
理想をいえば、アーティストがたくさんリストになっていて、毎日選べるぐらいだったら、見たい人けっこうたくさんいるんじゃないかな、という感じがしました。そういうインフラがないので、パフォーマーの方が好意でやっている無料の配信で楽しませていただきました。

高橋

僕もそういうの見ましたね。そのおかげで、昔ライブに行くことができなかったアーティストのライブを、無料の配信で見られました。

小島

いいのか悪いのかわかりませんが、パフォーマーの方がすごく身近に見られました。舞台だったら少し距離があって、少し遠い存在なんですけど。

高橋

絵描きのユカシさんは、コロナ始まりは?

サノ

コロナ始まりは、申し訳ないぐらい普通に過ごしてた。たぶん絵描きさんでも展示をすごくがんばってやってらっしゃる方は、厳しい状況だったと思います。
あと、飲食店でお持ち帰りの商品多くなりましたよね。それで、お店の方もお持ち帰りでも魅力的な商品にしたいって気持ちがあって、そのパッケージを描くお仕事をいただいたり。これもまたイレギュラーなんですよ。で、なんとかこう、楽しめるものにしたいっていうお店屋さんに、パッケージをぬりえにしてほしいと言われたり。
そういう自分のアイデアじゃなくって、いろんな方が創意工夫して、なんとかこれを乗り切ろうって思っているところに、私がすごくアイデアをいただいて新しい絵ができたりとか。だから、申し訳ないぐらいいいことがあって。すごく勉強になりましたね。

視聴者:ながめくらしつの写真がとてもすてきでした。撮影する時も、今はソーシャルディスタンスを気にしないといけないのでしょうか?

小島

ながめくらしつさんの場合は、私はマスクをして、ちょっと遠く離れて撮っていました。
困るのが、マスクをしてるとファインダーがくもっちゃう時があるんです。それで、そのたびに時間をおかなきゃいけない。
ただ、これからはできるだけ屋外とか風通しの良いところで、マスクを外せるようにして撮らないとつらいですね。
8月の沼津ラクーン8階はとても暑かったです。目黒さんたちにはたいへん恐縮なんですけど、パフォーマーの方たちがちょっと汗をかきながら演技されてるの、それは写真的にはすごくつやつやに、いい感じになる。エネルギーが少し入るというか。

目黒

スポットクーラーをはるばる東京から持ってきたり、サーキュレーターとか扇風機とかいっぱい使ったりして。外のドアを開けて換気したりとか、ね。

川上

開けっぴろげにはしてたんですけど、空気が広すぎて回りきらないので、苦労しあました。

視聴者:みなさんがはじめて有料で見たオンラインの公演はなんですか?

川上

一時期、無料のものが多くなっちゃった。普段お金とっている身としては、どこまで無料で見せればいいの?という疑問がありましたが、その中では、買って見るということもしてみました。
僕はね、ルフトツークさん、ピアノのライブと、あと、歌舞伎役者さんの現代っぽい作品を見せていただきました。どちらもとても凝っていて、ありがたく見させていただきました。

高橋

有料配信だと複数のカメラになっていますよね。

川上

でも逆に、これをその値段でやっていいの?みたいなね。
本番と同じだけの手数がいるじゃんって思いながら見てたり。
ただ、そうか、大人数が見ると考えれば興行としてはやっていけるのか。
でも、そんなにみんな見るのか、とか、いろいろ考えさせられました。

入手

そんなに見てないんですけど、有料の配信では、「コンドルズ」の近藤良平さんと、ミュージシャンのハナレグミさんが一緒にやったパフォーマンスを見ました。あとは、演劇もいくつか見たかな。

目黒

僕は、チェロ奏者の坂本弘道さんがライブ配信をやってて、それを見ました。それぐらいしか見てないですかね、有料のは。
坂本弘道さんはよく、僕も杏奈さんも一緒にやってるミュージシャンの方なんですけど、あー坂本さんだな、と思いながら。

入手

私は最近生で見ましたよ。最高でした!

川上

坂本さんは沼津ラクーンのランドフェスでもやってる。
終わってから、3時まで飲んでたなあ。それができてた時期だった。

小島

僕が見たのは、東京のランドフェスでお見かけした、中村蓉さんの公演を見させていただきました。
あとやはりランドフェスで、飯森小百合さんがやられたのを見ました。
あと先ほどのコンサートは、グラスハープ奏者の大橋エリさんがご自宅を一部屋配信できるように改造して、一家族対大橋さんみたいな感じでコンサートをしています。あとこの前のながめくらしつ「昨日の手触り」も見ました。

川上

ながめくらしつの、この前の8月の有料動画配信はスケラボ初めての試みで、何人見るだろうというのは想定してなかったです。
29日と30日に、2回動画配信をやって、1回目の動画が終わった後に、みなさんがツイッターなどで感想を言ってくれて広まったみたいで、2回目はね、100名以上が有料で、リアルタイムで見てくれてた。当日は本番と同じ午後7時から始めて、24時までは見られる状態にしていました。
それでも、それだけの方に見ていただけたのはありがたかったですね。

小島

ながめくらしつの公演で、冒頭にとても印象的なシーンがあるんですが、私はゲネプロの時に現場で写真を撮っているんです。撮影した時は、そのシーンのその角度に気付かなかったので、配信を見てよかった。向こうに目黒さんが見えるっていうのは、横から写真撮ってると気付かなかった。

川上

見てない人にはなんのこっちゃだ(笑)。
いつかまた、生でも、動画でも、みなさんに見てもらえる機会を作りますので。

高橋

ちなみに僕は暇な時、家にあるカセットテープを全部デジタル化しました!なのでもう、家にカセットテープが1本もないです!カセットの素のまんまの音でCD-Rに焼いて、車で聴いてるんで、なんかすごくなつかしい音で。それはそれでいいかな、なんて思ってね。軽く掃除になったかなって感じです。
というわけで、今後について、先ほど「なう」で、ちょっと明るい兆しが見えてきた感じですけども、希望的な部分も含めて未来のことを聞きたいなと思います。

(3)未来の妄想

川上

8月のものが妄想だったのですが、いろいろな動画配信を見ていたると、カメラアングルをどうしても意識してしまいます。たとえば20人出てる芝居のどこを見るか。観客としてならば自分の好きなとこ見ていればいいんだけど、カメラだとどうしても誰かにクローズアップするし、舞台全体が映る引きの画というのもおもしろくない。コントロールされてしまうのがちょっと嫌だなと思ってしまいました。
たとえば自分でスイッチングしてこのシーンが見たいな、と選べるものもあるといいのかもしれないけど、僕らが見られる画面が1個だと制限されるので、制限されたことが、結果としていい方になるように作りたいなあと思ってます。
今、目黒君と一緒に作っているものは、なるべくそうしていきたいとは思っているけど、アイデアから実現までが期間が短くて、突貫工事だったので、もっと詰められると思うし、目黒君の中でもアイデアがいっぱい出てくると思うので、それを叶えていきたいですね。
あとは本当は五感があったほうが良くて、触覚もそうだし嗅覚もそうだし、どうしても視覚と聴覚に多くを持っていかれてしまうので、なんとか違う方法で触覚とかも手に入らないものかなあっていうのは妄想していますね。
みんなの元に、この手触りが伝わる何かを送っちゃうとか、なんすけどね。「富士山の空気」みたいに、空気を入れて送るとか、香水とかでもいいのかもしれない。違う感覚を取り入れたものを作ってみたいなっていう妄想をしています。

入手

はい。一番の妄想は、もう今、冬眠して起きたらコロナが終わってればいいな
本当に終わってほしいっていうのが一番ですけど、そうも言ってられないので、やるしかないんですけど。
でもそんなにやることが大きく変わるわけじゃないっていうのはこの半年ぐらいを経て強く思っていることです。
自分をオンライン仕様にしていくっていうのも違うなー、と。
やっぱり生の体で、生の表現でしかないんですよね、ダンスって。お芝居とかも。だけど今それができないから、オンラインの可能性を探っているけど、でもオンラインでできなくてもいいと思います。
必ずそれをオンラインに変換して届けなきゃいけないかって言ったら、たぶんそうでもない。生でできるタイミングを待ってもいいし、自分が何を信じて、何をしたいかっていうのを、それぞれが考える時間なのかなって思うので、見る人もそれを好きに選べばいい。
だから、この時代にあわせなきゃって思うとたぶん、しんどくなっちゃうから。
なんか、今までと変わらずコツコツ体に向かって、ダンスに向かって、やる。
で、それを見てくれる人がいることはありがたいので、今までと変わらず、踊りと向かっていけたらいいな、と思います。
やっぱり早くこう触れ合って、みんなで、対面というか向き合って踊りたい
それができないとやっぱりすごくさみしいです。祈りながら未来を待ちたいなと思います。
変わることが悪いことではないし、いいこともたくさんあります。だけど、そんなに、変えてまでやりたいことかどうか、自分が、とか。
アーティストって、こういう時こそダンスとか芸術をやらなきゃって思いがちというか、そういうところがあるけど、別にそんな高尚なものじゃない。
やりたいからやってるわけじゃないですか、自分が。
誰かの、世界のためにとか、コロナだからこういうことしなきゃ、とかじゃなくて、その前に見る人もやる人も、みんなそれぞれ、一人一人に生活がある。
だから、自分がやりたければ差し出せばいいけど、自分が、なんていうかな、世界のためというか、にはならない、というか(笑)。
自分がやりたいかどうか。それぞれ選べばいいと思います。

目黒

さっき杏奈さんが言ったみたいに、本番というか、人前でやることが完結というわけでもないような気はしてる。
ただ、こうやりたいから、自分が作った、っていうのは、やりたいなってけっこう思ってて。
たとえば8月に沼津でやるはずだった公演もそうですけど、ながめくらしつとか、僕が作るのは基本的に濃厚接触なんですよ、だいたいのことが。何もかもが近い。体が絡み合っていたりとか、そういうのがけっこう多い。
いちおう現代サーカスと言っているので、今、現代はどういう世界かっていうのを抜きに作品を作ることはできません。せっかくなら、普段の自分だったらあえて作ろうと思わないようなことを作りたい。こないだの作品でいえば、演者同士はいっさい、タッチをしてないんです。そんな作品今までは作ったことがなくて、作ろうとも思わなかった。それでも、人と人との関わりとか、同じ時間や空間にいるってことを演出できないかな、と思って。出演者は、いつも一緒によくやってる人たちなんですけど、全然作り方も違います。いつもだったら、ものすごくひとつの作品に時間がかかり、あーでもない、こーでもないって言いながら結局本番でやるのはこれだけ!みたいな、捨てていったものもいっぱいあるような中で、稽古しながら、こういことやっていこうかっていうのを出していくような作り方だったんです。
今回は本番の週に集まって作りだして、映像も撮影して本番もやる、みたいなスケジューリングだったから、時間もないし、事前にほぼ決めて臨んだんです。だから、作り方も内容も、ありとあらゆるものが違っていた。だけど僕は、それができるようになりたい。いろんなことができるようになりたい。
一言で言えば、最強になりたいんです。作品を作る上で、ありとあらゆることができるようになりたいんです。こういう条件だからできないって、なりたくない。そういう意味で刺激はあるかなと思います。
究極を言えば、人が見なくてもいいんです。人が見ない、見せられなくなっちゃったってなっても、そういう目的で作ってるんだったら、わりと全力で作れるな、と自分では思ってるんです。
森で、誰も見てないけど一人で作ってください、あるいは、自分で作りたい!ってなったら、わりと全力で作るんじゃないかな。だから、できないこととか、やったことのないことをなるべく減らして、もう自分が思いつくことは全部やって…ただ、自分がやりたいっていうモチベーションを保つっていうのが難しいなと思ってます。

小島

人を撮ることができる状況になってきたので、逆に僕はさっき言ってた、アクセル思い出しちゃって、ブレーキ忘れているかもしれないので、ちょっとそういうところに気をつけてやらないと、と考えています。
見る側としては、今の目黒さんのお話しで、やっぱり全力で作った映像と現場があって、映像だけ流れたんですけど、それを見た人たちが想像して、現場に行ったらどうなんだろうという話で、すごくツイッターが盛り上がりました。
目黒さんの喪失感はあったと思いますけど、見るはずだった人たちはすごく想像をして、結果的には伝わったんじゃないかな、と。
入手さんも、外出自粛の期間中に、部屋の中で踊ってらっしゃるのをインスタでちょこっと流していましたが、ああいうのも、見てる方にしては、その時は逆に新鮮だった。
やっぱりパフォーマーの方が本気でつくるものって、かけがえのないものだなっていう感想があります。
写真のほうはこれから気をつけながら、ガンガン撮っていきたいと思います。
私、かなり特殊なレンズを使うので、海外から取り寄せるケースが多いんです。それがヨーロッパから届かなくなった時期がありました。今はだいぶ回復しましたが、1ヶ月で届くのが2ヶ月かかったりっていうのはまだあります。コロナが始まる前ぐらいに頼んだものが、いまさら届いたりもしています。そういうのも使いながら、ガンガン撮っていきたいと思っています。

高橋

ユカシさんはこの先っていうのはどうですか。

サノ

まず、「最強になりてえ」っていうのにすごい共感できるし、杏奈ちゃんの、日々のことをやるのみっていうのもすごく共感して、うなずきながら聞いてた。
私も、この状況がどうのとかっていうよりは、ほんとに目の前の与えられたこととか、自分ができそうなことを、一生懸命やるっていうことのみだと思っていて。
そこにあんまり、激しく感情的に揺さぶられたりしないほうが、落ち着いて自分のやりたいことが見えてくるので、そこに、ニュースとかもいっぱい流れてくるけど、あんまりそういうことに揺さぶられないように気をつけよって思います。自分の仕事に関してはほんとにコツコツやるのみだよな、って。
ほんと「最強になりてえ」ですよ。

高橋

世の中のニュースとか見てると、コロナの影響で完全に生き方とか仕事もガッチリ変えちゃった人もいますけれども、やっぱり基本変わらずに、この先もしっかりパワーアップしていくって感じですか?

目黒

まあ最強と言っておきながら、それはわかんないです。今んところそう思っているだけ。いつやんなくなるか、僕はわからない。

川上

僕も、静岡県文化プログラムにずいぶんお世話になっているんですけれども、企画書を書いたり、面接したりするわけですよ。
最初の頃は、やりたいことやってるだけですみたいなこと言ってて、さんざん怒られた。ちゃんと地域のことも考えてください、っていうのがあって。それももちろん考えるようにはなったんですけど、ここ最近は原点に戻って、やっぱやりたいことやってる。
でも、それでいいんじゃないの?って思っています。

目黒

わりと巻き込まれてますけどね、僕は。今まさに。

川上

やっちゃおうと思ってからやるまでが早すぎて、みなさんにご迷惑を多々おかけしております。

次回は11月初旬に開催予定です!